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労働者のためのQ&A

産前産後休暇中は無給となっている職場なのでかわりに年次有給休暇を申請した回答

× すでに労働の義務が免除されているので年次有給休暇は取得できません

 

 産前産後休暇中の賃金は労使の取り決めにより有給にすることができることは2月号でお伝えしましたが、まだ広まっていないのが実情です。

 年次有給休暇(年休)を使って少しでも賃金をもらえればと考えがちですが、産前産後休暇は「就業させることはできない」とすでに労働の義務が免除されていますので、年休を取得することはできません。行政通達でも「会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年休を請求したときは、労働義務がない日について年休を取得する余地がないことから、これらの休職者は年休請求権の行使ができないと解する(基発1456号)」とされています。

 労使交渉で有給に変える取り組みが重要になっています。

産前・産後休暇中は働いていないので無給にしなくてはならない回答

× 労使の取り決めにより有給にすることができます。

 

 労働基準法では産前・産後休暇中の賃金の規定はなく、労使の取り決めにゆだねられています。

就業規則や労働協約など、労使の取り決めが無く、賃金が支払われていなかった場合でも、健康保険に入っていれば健康保険法102条の規定により産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、産後8週間について標準報酬日額の3分の2が出産手当金として支給されます。また、産休は有給休暇日数の算定にあたっては出勤とみなされます。(労働基準法397項)

ただし、国民健康保険は出産手当金が支払われません。また、出産を前に退職した場合は健康保険であっても支給されないので注意が必要です。

産前産後休暇中の労働者を解雇することは法律により禁止されている回答

 

 労働基準法19条により、産前産後の休暇中とその後30日間は労働者を解雇することはできません。この規定は産前産後に限らず業務上の負傷や疾病のための療養も同様に解雇が規制されます。

 また、時期を問わず女性労働者の婚姻、妊娠、出産、出産休暇等の権利行使を理由とした解雇、その他の不利益な取り扱いは禁止されています。さらに妊娠中および出産後1年を経過しない女性労働者の解雇は、事業主が他の正当な理由を証明しない限り民事上無効となります。(男女雇用機会均等法94項)

 日本航空の不当整理解雇事件では産休中の女性に対し、出産17日から退職強要が行われ、整理解雇された事が意見陳述で明らかになりました。労基法19条違反であり、330日に出される判決において解雇が撤回されるものと思われます。

 



妊娠16週に流産となってしまったのですが、産後休暇をとることはできますか?回答

○ 

流産・死産・妊娠中絶も出産の範囲に含まれます

出産は重大なことであり、母体の回復のための休養は出産した女性全員に欠かすことのできない必須のものです。
出産の範囲については「妊娠4カ月以上(85日以上)の分娩とし、生産のみならず死産も含」(基発1885号)み、「妊娠中絶を妊娠4カ月以降に行った場合には、労基法65条の適用になる」(婦発113号)とされており、妊娠4カ月以上であれば流産や死産、妊娠中絶をしても、産後休暇8週間を取得できます。
ただし、人工中絶の場合、産後休暇のみとなり、事前に入院を要した場合は病気欠勤として取り扱われることになります。
産前の無理な労働が妊娠中毒症や早産、流産などの原因になることは明らかであり、医療現場では流産・切迫流産が他産業と比べ多い現状があります。妊娠中の労働者の業務軽減や産前休暇の取得がしやすい職場になるよう改善をはかっていきましょう。



使用者は出産後6週間を経過した女性が希望すれば、どんな業務に就かせてもよい回答

×

担当医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合に限ります
母性保護、妊娠・出産に関する保護の一環として労基法65条に産前・産後休暇が定められています。

①使用者は、6週間(多胎妊娠の場合14週)以内に出産する予定の女性が休業を申請した場合においては、その者を就業させてはならない。
産前休暇は妊娠中毒症や早産などを防ぎ、母子ともに健康にすごすための制度です。看護職などの立ち仕事・夜間労働などでは切迫流産・早産が多いため、しっかり取得していきましょう。

②使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる事は、差し支えない。
産後休暇は産前休暇と違い義務規定となっており、本人が希望しても就労させることはできませんが、医師が就労しても差し支えないと認めた業務については就労が可能です。とくに過重である看護労働においては、差し支えない業務かどうか医師としっかり相談する必要があります。



妊娠中に医師から通勤緩和の指示を受けたのですが自家用車での通勤でも対象になりますか?回答

○ 

 健康な人でもストレスの大きい渋滞した道路での運転や、満員の電車やバスでの通勤は、つわりの悪化や流産・早産等につながる大きなリスクになるものです。
 使用者は妊娠中の女性労働者から医師等からの指導を受けたと申し出があった場合、勤務時間の変更、勤務の軽減等、必要な措置を講じなければなりません(男女雇用機会均等法13条)。
 必要な措置として通勤の緩和、休憩に関する措置、出産後の症状に関する措置の三つの事項について指針(労働省告示105号)が定められており、通勤の緩和については交通機関(電車、バス等の公共機関の他、自家用車も含まれる)の混雑による母体及び胎児への負担を軽減させる措置を講じなければならないと義務付けられています。
 具体的に「通勤緩和が必要である」と指導がない場合でも女性労働者から申し出があった場合、使用者は担当する医師と連絡をとり、その判断を求める等適切な対応を図る必要があります。



労使の協議により、母子健診のための通院休暇を有給と定めることができる

回答

○ 

 女性が差別を受けずに家庭と仕事が両立できるよう、男女雇用機会均等法(均等法)が制定されており、妊産婦にあたっては母子の健康管理について健康診断等を受けられるようにしなければならないと定められています。(均等法12条)
 この通院休暇について給与の支給を義務付ける条文はありませんが「女性労働者が通院休暇を取得しやすい様にするためにも、通院休暇中の賃金の有無については、契約ないし労使で話し合っておく事が望ましい。すでに有給の通院休暇制度を導入している企業は変更する必要はない」(基発695号)と労使協議等で支給を推進するべきとしています。
 なお、無給の休暇としてあっても女性労働者が年次有給休暇(年休)を申請して有給にする事が可能です。逆に使用者側から年休を取得するよう義務付けることは、年休の取得を制限するものであり、認められません。
 母性保護を広げるためにも通院休暇を有給にするよう労働組合としても取り組んでいきましょう。
 
受診すべき回数の目安

妊娠23週まで

4週間に1

妊娠24週から35週まで

2週間に1

妊娠36週から出産まで

1週間に1

出産後1年以内

医師や助産師が指示する回数

 上記はあくまでも目安であり、医師や助産師がこれと事なる指示をしたときは、その指示された回数の確保が必要です。妊婦健診14回には国と自治体から補助があります。



母子健診のため早退を師長に話したところ「院内で受診して」と返事があった回答

× 
 通院日、医療機関等は女性労働者の希望によります 
 職場での男女平等を確保し、女性が差別を受けずに家庭と仕事が両立できるように男女雇用機会均等法(均等法)が制定されています。労働者が性別により差別されることなく、また女性労働者にあっては母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることから妊産婦の保護を規定しています。
 均等法12条には「事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子健康法の規定による保健指導又は健康健診を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない」と定められています。全ての事業主に対して女性労働者が通院のために必要な時間の確保や勤務時間の軽減などの措置をとることを義務づけています。
 この法律に基づいて就業規則等に通院休暇に関する規定を設けることが必要になりますが、その際通院日や通院先の医療機関を指定するなど、実質的に通院できなくなるような規定や規則を作ることはできません。(基発695号)
 
受診すべき回数の目安

妊娠23週まで

4週間に1

妊娠24週から35週まで

2週間に1

妊娠36週から出産まで

1週間に1

出産後1年以内

医師や助産師が指示する回数

上記はあくまでも目安であり、医師や助産師がこれと事なる指示をしたときは、その指示された回数の確保が必要です。



夜勤から外して欲しいとお願いしたが産前休暇まで入ってほしいと断られた回答

×

 本人から請求があれば夜勤をさせられません
 母性保護のためには労働の負担を軽減する必要があることから、男女雇用機会均等法制定と同時に、妊産婦本人が請求した場合、時間外・休日労働の禁止と合わせて「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない(労基法66条の3)」と深夜業の禁止が規定されました。
 にもかかわらず現状は日本医労連の看護職員労働実態調査では妊産婦の3~4割が夜勤を引き続き行い、3人に1人が切迫流産を経験している実態があり、労働条件改善と看護師増員は待ったなしの課題になってきています。



次の文章は正しいでしょうか?妊娠中の看護師さんは36協定があっても時間外労働をさせてはいけない回答

○ 

 母性保護のためには労働の負担を軽減する必要があることから、男女雇用機会均等法制定と同時に、妊産婦本人が請求した場合、週40時間または1日8時間を超える時間外・休日労働と深夜業が禁止される規定が労働基準法(66条)に盛り込まれました。
 また、労使で交わした36協定に関わらず、災害時であっても請求があれば妊産婦に時間外労働をさせることができません。(66条の2)
長時間労働は妊産婦に限らず労働者の健康に大きな影響をもたらすものです。母性保護での軽減と合わせて、職場全体で業務軽減を図っていきましょう。



次の文章は正しいでしょうか?妊娠中のため勤務を変えてもらうようお願いしたところ外来勤務になった回答

× 実質的に業務軽減が図られていなければいけません

妊娠中は長時間の立ち仕事や座作業、重いものを持つ、高い所のものを上げ下げする作業は母体や胎児に負担をかけ、切迫流産などになりやすくなります。そのため使用者は妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な作業に転換させなければなりません(労基法65条)
最近では病棟勤務から外来に配置転換になったというケースをよく見聞きします。しかし、外来も平均在院日数の短縮で患者さんの入れ替わりが激しく、重症患者や外来での化学療法、手術への対応なども増えています。また、病棟の慢性的な人員不足から助勤も行われており、輪をかけて忙しくなってきています。慣れた勤務と違って配置転換による緊張や疲労度も高くなっています。
何をもって軽易な業務とするのか本人の希望や職場での協力体制を含めてみんなで話し合って要求にしていく事が必要です。



次の文章は正しいでしょうか?患者さんをベッドから車いすに移す作業を妊娠中の看護師が行っている回答

×

 使用者は労働者の申し出が無くても妊娠中の女性や産後1年を経過しない女性(妊産婦)を「重量物を取り扱う業務」や「有害ガスを発散する場所での業務」など妊娠・出産・哺育等に有害な業務に就かせることはできません(労基法643項)。

 重量物を取り扱う業務を継続すると子宮下垂などが発生し、出産に障害が有るだけでなく健康を損なうことにつながります。したがってこれらの業務は妊娠・出産に関係なく生涯にわたって母性保護の対象なるものです。妊産婦以外の女性に関しても妊娠・出産に係る機能に有害な業務は厚生労働省令で同様に制限されています(同上の2)。

 とても喜ばしいはずの妊娠・出産ですが、人員不足など職場環境によって「他のスタッフに迷惑をかけてしまう」と心配になる状況があります。増員して人員的にゆとりをたせ、人生の大きな節目に笑顔で送り出せるような労働環境を作っていきましょう。



次の文章は正しいでしょうか?生理休暇を取ったところ皆勤手当が支給されなかった回答

× 生理休暇取得を事実上抑制する場合は認められません

 生理休暇取得を理由に皆勤手当をカットするなど不利益な取り扱いをすることは直ちに違反とはならなくとも、取得の抑制につながり好ましくありません。厚労省の通達でも「著しい不利益を課すことは法の趣旨に照らして好ましくない」とされています。賞与や一時金の算定に関わる出勤率の計算にあたって生理休暇取得日を欠勤とみなし、減額するような取り扱いについても考慮されることが望ましいとされています。
 最高裁判決では「労働協約等に定めがない限り無給」であることを前提としたうえで、「生理休暇の取得を著しく困難とし、労働基準法が女子労働者の保護を目的として生理休暇について特に規定を設けた主旨を失わせると認められるもの」については違反としており、生理休暇取得を事実上抑制する効果を持つ場合(たとえば精勤手当が高額)については違法になります。
 労使交渉によって生理休暇の有給化や手当の支給を労働協約等に定めるのが一番の解決方法であることは言うまでもありません。



次の文章は正しいでしょうか?生理休暇は無給と決められている回答

× 労働協約または就業規則で定めれば有給にできます

 

 労働基準法では生理休暇中の賃金の支払いに対して特別な制限を定めていません。従って、生理休暇中の労働者に対して賃金を支払うかどうかについては、それぞれの職場で定められる事になっています。

厚労省の通達でも「生理休暇日の賃金は労働契約、労働協約または就業規則で定めるところによって支給しても、しなくても差し支えない」とされており、労使交渉によって有給となれば支給できる事になります。

 無給と定めている場合でも生理休暇に年次有給休暇を利用することは可能です。逆に「年休の範囲内で生理休暇を認める」といった規定は「請求があれば与えなければならない」生理休暇の制度に反するものであり無効です。年休を消化するか、無給のままとするかは労働者個々人の判断で行う事ができます。



次の文章は正しいでしょうか?生理休暇を申し出たところ、病院に受診し診断書をもらうように指示された回答

×
 診断書の提出を求めることはできません

 請求手続きを複雑するなどの、生理休暇を取りにくくする要件を定めることはできません。
 生理の苦痛の程度や就業の難易は各個人によって違うものであり、必ずしも医師の診断を必要とするものではない為、医師の診断書などを要求すると生理休暇自体とることが出来なくなってしまうためです。
 厚生省(当時)の通達でも「医師の診断書提出のような厳格な照明を求めることなく、一応事実を推断せしめるに足れば充分であるから、例えば同僚の証言程度の簡単な照明」で構わないとする通達が出されています。



次の文章は正しいでしょうか?生理休暇は月1日までと定められている回答

×

 日数を限定する規定は作れません

 労働基準法では68条に「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求した時はその者を生理日に就業させてはならない」と定めており、就業規則などに上限を定めることはできず、定めがあった場合も無効になるとされています。
 生理期間もその間の苦痛の程度や就業の難易も各個人によって違うものであり、客観的な一般基準を定めることはできないからです。
 生理休暇は母性保護を目的に作られた制度です。自覚症状の少ない人でも生理期間中の労働は心身に与える影響が大きく、不妊などのリスクがあります。生理期間中は必要な無理せず必要な休暇を取得していきましょう。



次の文章は正しいでしょうか?生理が重く辛いため、休暇を申し出た回答

 生理休暇は母性保護の観点から生まれた日本独自の制度です。労働基準法68条には「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求した時はその者を生理日に就業させてはならない」と定められており、生理が重く就業が困難な場合請求することができます。
 生理痛がどれだけ辛いのかは本人にしか分かりません。「生理日の就業が著しく困難」であるか否かを追求することは法律の趣旨からも、性差別でも問題といえます。年次有給休暇と違い経営者は「時季変更権」がなく、請求したら与えなければなりません。生理休暇を拒否した場合使用者は30万円以下の罰金を科されます。



次の文章は正しいでしょうか?半年以上続けて働いている人には有給休暇が10日以上ある回答

有給休暇とは労働者が人間らしく生きるために休日以外に権利として賃金をもらって休暇を取ることができる制度のことです。勤めてから半年以上の労働者に10日、以後1年ごとに表のように有給休暇を付与する事が決められています。有給休暇は正社員だけでなくパート労働者にも週の勤務日数に応じて付与しなければなりません。

有給休暇の日数は2年を超えると時効となります。その年と前年の未消化分を合わせて40日が法律上とれる有休日数です。

ヨーロッパ各国では、デンマークの最低5週間など、日本よりも長い有給休暇が認められており、権利として取ることが当たり前という考え方が定着しています。日本では有休消化率が50%以下となっており、取りやすい環境を作ることが必要になっています。



労基法クイズ有休日数.xls
次の文章は正しいでしょうか?タイムカードを利用して労働時間管理をしている職場で、労働者がタイムカードを打ち忘れてしまった。就業規則にはその場合欠勤になると書かれていた。回答

×
欠勤にはなりません

法律は「実際はどうなのか?」を重視します。この場合、実際には8時間働いたのですから、タイムカードを打ち忘れたかにかかわらず、実際に労働した分について会社は賃金を支払わねばなりません。
「打ち忘れた場合は欠勤扱いにする」というように就業規則にあるならそのような規則は無効です。
使用者は労働者の労働時間を把握する義務があります。打刻忘れを理由に欠勤扱いにすることは許されず、むしろ使用者の管理怠惰を問われることになります。タイムカードの打刻忘れが多いなら、それを防止する措置を講じなければなりません。
タイムレコーダーの打刻忘れを理由に欠勤として扱うことは許されませんが、それをたびたび繰り返す労働者に対して制裁措置を取ることは可能です。例えば「何回繰り返した場合は減給処分にする」というものです。この場合も制裁に関する事項として就業規則に明記しなければなりません。



次の文章は正しいでしょうか? 小学校就学前の子供、または要介護状態にある人を介護する労働者は時間外労働の制限がある回答

A ○

 今回は労働基準法ではなく、時間外労働の関連として育児・介護休業法からになります。
 育児・介護休業法は、育児又は家族の介護を行う労働者の労働と家庭生活との両立が図られるよう支援することによって、その福祉を増進するとともに、あわせて社会の発展を目的としています。次世代育成支援を進めていく上でも大きな課題となっている育児や介護を行う労働者の仕事と家庭との両立をより一層推進するために、制定されました。
 育児・介護休業法では「小学校就学前の子の養育又は要介護状態の家族の介護を行う労働者が請求したときは、事業主は、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできない」としています。これより長時間の時間外労働を協定していても、育児・介護休業法が優先します。

時間外労働の上限

1カ月間

1年間

36協定上の上限

一般の労働者

45時間

360時間

育児・介護休業法の上限

該当する労働者

24時間

150時間






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